2020年5月26日|最新情報更新しました
- 竹節 倫敦(たけふし ともあつ)
- 専門資格:ガス給湯器などの設置施工に必要不可欠な液化石油ガス設備士(国家資格)に加え、高圧ガス販売主任者第二種、丙種ガス主任技術者の資格も保有している。
「ふろ自動湯はり」とはスイッチ一つで浴槽にお湯はりをして、リモコンで設定した水位や水量になれば自動で止めてくれる便利機能です。
自動でお風呂にお湯をはってくれる便利な機能ですが、ときには下記のような症状が出ることがあります。
- ふろ自動湯はりで出てくるお湯の量が少ない
- ふろ自動湯はりでお湯がたまらない(湯はりが遅い)
状況によっては給湯器の故障の場合もありますが、基本的には仕様 や一時的な症状のケースが多いです。
※基本的に各メーカー共通の内容となります。
目次
湯張りトラブルの確認事項
給湯器のタイプを確認
まず、運転が終われば自動でストップする「湯はり」には2種類の方式があります。
- ふろ自動湯はりタイプ:循環アダプターからお湯が出るタイプ(ふろ給湯器)
- 落とし込み(オートストップ):蛇口からお湯が出るタイプ(給湯専用機)
今回の解説の主体は、浴槽に循環アダプター(金具)がついている「ふろ給湯器タイプ」ですが、蛇口から落とし込みで湯はりをする「給湯専用タイプ」の原因や解決ポイントも合わせて紹介します。
浴槽にお湯が出てこない場合|状況①
お湯が出てこない場合、大きく4つの可能性が考えられます。
リモコンにエラーコードが出ている
リモコンにエラーコードが出ている場合は、給湯器が停止するケースが多く、表示番号に応じて原因特定と対処が必要です。
給湯優先になっている(ふろ給湯器)
お湯が出てこない場合は、「キッチン・洗面・シャワーでお湯を出していないか?」を確認してください。
給湯(お湯)の蛇口を開けている場合は、自動湯はりを一時中断して、蛇口やシャワーを優先する「給湯優先」が各メーカーの基本となっています。
つまり、他でお湯を使っていた時間だけ、湯はり時間は遅くなり、浴槽を見ても「あれ?お湯がたまっていない」と感じるケースが非常に多いのですが、これは正常な状況です。
蛇口やシャワーの給湯が優先になっていて、「風呂自動」が開始できない(待機状態)になっている可能性があります。
給湯を止めて、ふろ自動が動き出すかどうかを確認してください。
蛇口の開け忘れ(給湯専用機)
落とし込み(オートストップ)タイプの場合は、「お湯はり」のスイッチを押した後に蛇口を開けているかを確認してください。
給湯器が動いていない
給湯のお湯(キッチン・洗面・シャワー)は出てきますか?
お湯が出ないようであれば、湯はりだけの問題ではなく、根本的に給湯器のお湯が出ない原因を特定していく必要があります。
浴槽にお湯がたまらない【湯量が少ない】|状況②
浴槽にお湯は出てくるものの、設定通りにお湯がたまらない(湯量が少ない)事例もあります。
ですが、必ずしも故障ではなく、仕様通りの正常な場合もあります。
まずは、現在の症状が「故障なのか?」「正常なのか?」を見極めていきましょう。
湯量が少ないと感じる場合には、大きく3つの原因が考えられます。
お湯が抜けている(排水栓・漏水)
排水栓を完全に忘れていて「お湯がたまらない」場合、完全に排水栓を忘れていれば原因は一目瞭然なのですが、『排水栓はしているがキッチリ閉まっていない(チョロチョロ漏れ)』場合が落とし穴です。
排水栓には大きく2種類あります。
- プッシュボタン式のタイプ
- チェーン付きのタイプ
プッシュ式の場合は、排水栓部分に「異物の噛み込みがないか」「パッキンが劣化していないか」を確認してください。
チェーン付きの場合は、「異物の噛み込み」「パッキン劣化」に加え、「斜めにはまっていないか」を確認してください。
排水栓に問題ない場合は、給湯器~浴槽の配管にかけて漏水している可能性も考えられますが、この場合はサービスマンの点検が必要となります。
そして、これらが原因で徐々に排水されてしまった結果、お湯が少ない状況になっている可能性が考えられます。
湯はり中に給湯を使用した(給湯専用機)
給湯専用機のオートストップの場合、お湯はり運転中にキッチン・洗面・シャワーなどでお湯を使うと、使った分だけ湯量が減って湯はりが完了します。
この場合、「湯量が少ない」症状は仕様どおりなので異常ではありません。
業者の試運転ミス(ふろ給湯器)
自動(オート)タイプは、機器内の「湯量センサ」が湯量をカウントをしますが、全自動(フルオート)タイプにおいては「水位センサ」が搭載されていて、常に機器が浴槽の水位をチェックしています。
ですが、業者の試運転に問題があると、水位が安定しない可能性が出てきます。
そして、水位が安定しない場合は、「水位リセット」をして、再度浴槽の記憶をさせる必要があります。
リセット方法は、同じメーカー内でもリモコンの種類で操作方法が異なるため、お使いの機種の取扱説明書を確認してください。
お湯がなかなかたまらない【遅い、時間がかかる】|状況③
湯はりの「スピードが遅い」「時間がかかる」「なかなかお湯がたまらない」と感じる場合には、大きく4つの原因が考えられます。
給湯優先で湯はりが中断(ふろ給湯器)
- お風呂の浴槽に自動湯はりをしている時に、他の場所で給湯(お湯)を使っていた
- キッチンで洗い物をしていた
- 洗面で手を洗っていた
- 湯はりをしながらシャワーを浴びていた
給湯器には24号や16号などの号数があり、家の中で同時に出せる湯量には限りがあります。
湯はり運転中の場合は、浴槽に多くのお湯を使っている状態なので、蛇口で出せる湯量(余力)はかなり少なくなっています。
そこで、給湯(お湯)の蛇口を開けている場合は、自動湯はりを一時中断して、蛇口やシャワーを優先する「給湯優先」が各メーカーの基本となっています。
つまり、他でお湯を使っていた時間だけ、湯はり時間は遅くなり、浴槽を見ても「あれ?お湯がたまっていない」と感じるケースが非常に多いのですが、これは正常な状況です。
夏季、冬季は時間がかかる
給水温度が低い冬は、沸かしあげるのに時間がかかる場合があります。
給水温度が高い夏は、設定湯量(水位)まで水はり後においだきを行う場合があり、時間がかかる場合があります。
季節の変わり目で「いつもよりも遅い気がする」といった場合は、正常な可能性が高いです。
お湯が出たり止まったりする(ふろ給湯器)
お風呂の自動湯はりの運転を眺めていると、「お湯が出る→止まる→お湯が出る」を何度か繰り返しますが、これは正常な運転です。
お湯が出ていない間は、残り湯の有り無し判定を行ったり、おいだきをしたりしています。
こまめな動作目的は、設定通りの水位(湯量)と温度で完了させるために、給湯器が浴槽の状況を把握しながら慎重に運転を行っているのです。
止まる回数や待機時間(判定時間)などは、メーカーや機種で異なります。
メーカーや機種で制御が違う
給湯器を買い替えた場合に「前の機種より湯はりが遅くなった気がする」などの声もあります。
これは先ほどの「季節(夏・冬)」の影響もあるので、同じ季節で比較して遅いのかどうかがポイントとなります。
また、メーカーによって湯はり運転の制御方法(開発の設計思想)が異なるため、仮に同じ条件でも完了時間は機種間で異なる可能性があります。買い替え直後でどうしても気になる場合は、販売店などに相談してみてください。
給湯器の経年劣化に注意
給湯器の使用年数が長い場合は、湯張り回路部品の経年劣化も考えられます。
給湯器の寿命は10年と言われており、故障発生率は10年を越えてくると急激に上昇しますので、長期間使用している給湯器であれば、機器の寿命の可能性もあります。
部品交換で直っても、他の部品も劣化が進んでいる可能性もあるので、8~10年以上使っている場合は、「修理」だけでなく「交換」も選択肢に入れることをおすすめします。
また、浴槽の循環アダプターをメンテナンスしていない場合は要注意です。
風呂自動湯はりは、おいだき配管を使ってお湯を浴槽に送り出しますが、浴槽の湯垢や髪の毛などの掃除を怠ると、配管内にゴミとして蓄積され、回路部品に悪影響を及ぼす可能性も高くなります。
給湯器の寿命を縮めている可能性もありますので、掃除不足に心当たりがある方は、まずは掃除をしてみましょう。
以上、給湯器の風呂自動湯はりで湯量が少ない・お湯がたまらない原因と確認方法をご紹介いたしました。
各項目を確認の上、経年劣化などで給湯器の故障が疑われる場合は、メーカーやガス会社、賃貸の場合は管理会社や大家さんに相談するようにしましょう。
文:ガス専科編集部 記事監修:竹節 倫敦(液化石油ガス設備士)
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