【ガス給湯器の寿命・耐用年数】10年?20年?給湯器の専門家が回答!

給湯器 寿命

ガス給湯器(湯沸かし器)の寿命年数は?

専門家目線の回答にはなりますが、「10年」が一つの目安となります。

給湯器の寿命については、寿命年数(耐用年数)が「15年」、「20年」、なかには「30年」という議論がネット上で見受けられます。あるいは、根拠の薄い「10年」という記載も多々あります。

ガス給湯器の利用者(私も含む)の心理としては、15年や20年など寿命年数が長いほうが嬉しいですよね。

だからこそ「7年~10年」などと書かれている記事を見ると、もっと長い年数を書いている記事を探しがちです。

ですが、「20年」と書かれた記事がたくさん見つかっても、それは正しい答えではありません。

まずは以下の内容に目を通していただければと思います。

まずは大前提として、上記の内容が「給湯器 寿命」の考え方の基本となります。

「給湯器 寿命」を語るには経験と知見が必要!

「ガス給湯器の寿命」の見解は、誰が書いているか(伝えているか)が重要です。

給湯器の専門知識と経験で解説

では、私(筆者)がこれから紹介する内容は正しいのでしょうか?

⇒少なくとも、このテーマにおいて「総合的な見解」「理論的な補足」をするには適任だと思っています。

◆筆者の給湯器の専門経験と知見

  • メーカーブランドとガス会社ブランドの給湯器に精通
  • 問い合わせ対応:1万件以上(2005~2018年)
  • 現場経験:修理、交換、見積り、不具合分析調査、新築現場、事故案件、コールセンターまで対応
  • 商品知識:商品開発、商品企画、商品教育、営業、品質管理、品質保証、工場、部品メーカー、業界案件まで携わる

加えて、私はガス給湯器ユーザーでもあり、リンナイ、ノーリツ、パーパス、東京ガス、大阪ガスを含む計7機種を使用してきているので、利用者目線でもお話できると思っています。

このページでは、「寿命10年」をキーワードに大きく3つのポイント(根拠)を紹介します。

「15年や20年」という答えを探していた方にとって「10年は短いよ!」と思われるでしょうが、「10年で必ず交換が必要」というわけではありません。適切に対応すれば10年以上の使用もOKなので、その詳細も紹介します。

ガス給湯器ユーザーならば必ず知っておくべき内容ばかりなので、是非一読いただければと思っています。

◆ガス給湯器ブランド
リンナイ、ノーリツ、パロマ、パーパス、長府製作所、ガスター、ナショナル、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスなど

ガス給湯器の「寿命」と「経年劣化」を解説

まずはひとつ動画から見ていただければと思います。

リンナイ、ノーリツ、TOTO、LIXILなど大手ガス器具メーカーや大手住宅設備メーカーなど、97社が会員となっている「一般社団法人 日本ガス石油機器工業会」が提供する動画になります。

この動画で出てくる「経年劣化」=「寿命の前兆」と認識しておくと、この後の内容がより理解しやすくなります。

「給湯器は10年程度で点検」はメーカーだけの考えではなく、国や各業界団体も促している内容でもあります。

仮に給湯器が動いていても部品が劣化することで能力が低下することもありまし、中には異常な状態やリスクを抱えたまま動いていることもあるのです。

まずは、ご自宅の給湯器から経年劣化のサインが出ていないかをチェックしてみましょう。

  1. ボンと大きな音や異音がする
  2. 点火するまで時間がかかっている
  3. お湯がなかなか出てこない
  4. お湯にならないことがある
  5. シャワーが熱くなったりぬるくなったりする
  6. 給湯器にすすがついている
  7. 時々エラーが出る

もし、この中で一つでも当てはまればそれは経年劣化が起きているサインであり、戸建て、アパート、マンション、賃貸、分譲…いずれも基本的な考え方は変わりません。

【根拠1】部品の期限が10年と決まっている

給湯器の部品期限は10年

ガス給湯器の場合、基本的に「補修用性能部品の保有期間」というものがあり、製造打切後10年と決まっています。

状況により異なりますが、例えば11年目に故障した場合、交換する予算がないから修理で対応しようとしても「修理する部品がなくて直せない」というケースもでてきます。

つまり、この場合はお湯を出すには給湯器の交換をするしかなく、10年以上使う場合のリスクの一つでもあります。

【根拠2】ガス給湯器の「標準使用期間」は10年が基本

給湯器の標準使用期間、10年

家庭用のガス給湯器には、「屋内設置用」と「屋外設置用」があります。そして、それぞれに設計面での使用期間が決められています。

  1. 屋内設置の給湯器:「設計標準使用期間」
  2. 屋外設置の給湯器:「設計上の標準使用期間」

「設計標準使用期間」と「設計上の標準使用期間」は、それぞれ「10年」と算定されています。

MEMO
  1. 屋内設置の給湯器:「法律に基づく内容」
  2. 屋外設置の給湯器:「法律に準ずる内容」

そして、点検の内容も異なってきます。

  1. 屋内設置の給湯器 → 法定点検:安全のために必ず点検してください(製品所有者の責務)
  2. 屋外設置の給湯器 → あんしん点検:安全のためにできる限り点検してください(消費者の任意)
MEMO
いずれも10年で必ず寿命がくるというわけでもなく、10年以上絶対に使ってはいけないということでもありません。

但し、10年以上使うなら点検を受けて「安全確保」をしながら使用することが求められています。

では、「なぜ給湯器に点検が必要なのか?」を次に説明します。

【根拠3】ガス給湯器は10年目以降に故障や事故の確率が増加する

10年目以降の故障発生率

給湯器の故障確率

先ほど、給湯器の設計標準使用期間について解説しましたが、給湯器を10年以上使う場合の「安全面」にも注目です。

まずは経済産業省の資料を見てもらいたいと思います。

次のグラフの見方のポイントとして、「設計標準使用期間の終わり=10年」と考えてください。

そして、10年目以降の「摩耗故障期」に給湯器の故障率がどのように推移しているか注目してみてください。

設計標準使用期間および点検期間の考え方(経済産業省)
設計標準使用期間および点検期間の考え方_条件(経済産業省)

出典:「長期使用製品安全点検・表示制度」(経済産業省)(2018年7月15日に利用)

給湯器に限らず、機械は初期故障の懸念があります。だからこそ「無償の保証期間(1年や2年など)」が設定されています。

初期に故障が出なければ実は故障する確率は低いところで安定することが多いですが、10年を過ぎると曲線は急上昇し、故障のリスクは確実に高くなります。

しかし、現実的には15年壊れずに使われているご家庭もあれば、20年使われているご家庭もあります。

そう、寿命はバラバラなんです。

ただ、その多くの場合が点検を受けずに使い続けており、結果的に事故に繋がっているケースも事実存在します。

10年目以降の事故の発生リスク

給湯器の故障や事故の発生リスクが増加

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、屋内式ガス瞬間湯沸かし器や石油給湯器などの「長期使用製品安全点検制度」の対象機器の経年劣化による事故の件数が、2009年度から2013年度までの 5 年間で94 件の発生があったことを発表しています。

事故の使用期間別 事故発生件数

図 3 に「使用期間別 事故発生件数」を示します。
特定保守製品は、屋内式ガスふろがまや石油ふろがま等、住宅に設置される設備機器として比較的長期に使用される場合が多く、使用開始から 20年以上経過して発生した事故も 25 件(26.9%)あります。

事故の使用期間別 事故発生件数(特定保守製品)

出典:「長期使用製品安全点検制度対象製品の経年劣化による事故の防止について(注意喚起)」(独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE))(2018年7月15日に利用)

使用開始から10年以上経過すると「事故の発生件数」も増え始め、使用14年目で大きく増加していることがわかります。

この件数は屋内機器のデータですが、屋外式の給湯器であっても約10年経過すると経年劣化のリスクは高まり、注意や点検が必要となってきます。

長く使い続けた結果、給湯器がただ壊れるだけならまた買い替えればすむ話ですが、事故が起きてからでは「給湯器の交換」だけの話ではなくなってしまいます。

 

ここまで3つのポイントで解説をしてきましたが、一番理解してほしいのは「安全面」です。

ただ、安全最優先とはいえど、「ガス給湯器の交換」となれば高額な出費を伴います。ガス給湯器の1ユーザーとしては、少しでも長く使いたいものです。

そこで少しでも長持ちさせるための小さなケアを3つだけ紹介しておきたいと思います。

ガス給湯器の寿命を長くする「ケア」と「コツ」

給湯器に限らず、例えば車でも長持ちさせるコツはあります。

定期的なメンテナンス、掃除、アクセルをふかしすぎないなど、日々の小さなケアが7年後、10年後に差となってでてきます。

では、給湯器では何ができるのでしょうか?ポイントは次の3つです。

1.水を使う時は蛇口をお湯側にしない

給湯器(リモコン)がOFFの場合、給湯器は燃焼しません。つまり、蛇口(水栓)が「お湯側」でも「水側」でも冷たい水がでてくる仕組みです。

しかし、配管は「給湯管」と「給水管」に分かれていて、お湯側で冷たい水を出すと給湯管の温度差が大きくなりやすく、結露、錆、腐食等につながりやすくなります。

冷たいお水を出す(お湯を出さない)ときは蛇口を「水側」にする癖をつけましょう。

水を出す

小さなケアの積み重ねでも10年経てば大きな差として出てくる可能性は十分考えられます。

(お金で例えれば、1日100円の節約を心がければ、10年という月日が経てばで36万5千円になります!積み重ねの力は想像以上に大きいです。)

2.冬季の凍結対策を怠らない

凍結

冬季の凍結は給湯器や配管を破損や劣化させる可能性が高くなります。

凍結予防ヒーターはついていても、それだけでは不十分な場合もあります。

冬場は特に天気予報で気温などを確認し、必要に応じて予め凍結対策をするのも給湯器を守る大事なポイントとなります。

  1. 凍結予防ヒーターが作動するように給湯器の電源プラグは抜かない
  2. 長期間使用しない場合は水抜きをする
  3. おいだき機能搭載の場合は、自動でポンプ循環するように浴槽に残り湯(循環アダプター上まで)をおいておく
  4. 給湯回路はチョロチョロでもいいので水をだしておく(特に冷え込む夜~朝にかけては重要)
  5. 凍結したら熱湯をかけない!自然解凍を待つのが基本

3.こまめなお手入れも重要

ガスコンロも給湯器もお手入れを怠ると寿命は短くなります。

普段は視界に入らず存在感が薄い給湯器だからこそ「定期的な掃除」はしてあげましょう。

  1. 循環アダプターのフィルターをこまめに清掃する(詰まりによる循環不良を防止してポンプの負荷を軽減させる)
  2. 給湯器本体(外装)の汚れをぬれた布なので落とした後に水気をきっちり拭き取る
  3. 給湯器の給気・排気を妨げない(ほこりや蜘蛛の巣など燃焼の妨げになるものを除去する)

給湯器の寿命と交換時期は「ゆとりを持って考えて」

ガス給湯器は「安全・安心」を最優先に考えれば、理想の交換時期は10年以内と考えます。

やはり10年を越えてくると故障した時の修理費用も大きくなる傾向にあり、修理後すぐに別の故障が発生するケースも多いです。

また、修理せずに動いている給湯器も「リスクが潜んでいる」可能性は十分あります。

給湯器の実質的な寿命は結果論でしかありませんが、10年以内に交換するのがリスク小の選択だと考えています。

是非、この機会に給湯器の体調も気にしてあげてください。そして、寿命がくる前に余裕を残して交換検討をしてもらえれば、交換時の見積り交渉などもしやすいと思います。