2020年6月12日|最新情報更新しました
- 竹節 倫敦(たけふし ともあつ)
- 専門資格:ガス給湯器などの設置施工に必要不可欠な液化石油ガス設備士(国家資格)に加え、高圧ガス販売主任者第二種、丙種ガス主任技術者の資格も保有している。
「毎月のガス代が高い、なんとか節約したい・・・」
こんな悩みを抱えている方は少なくありません。
「追い焚きってガス代がかかりそう」「湯はりの方が安い?」「保温つけっぱなしの場合のガス代は?」
ガス代を少しでも節約するための方法を知りたい、という方も多いと思います。
この記事では、様々な場面を想定してガス代の比較と解説をしています。
ガス代についてお悩みの方は、是非参考にして見てください。
目次
まずは結論
追い焚きのガス代は各ご家庭の条件に当てはめなければ、答えはでません!
なぜなら、「お風呂の設置環境」「家族構成」「使用機種(熱効率)」「都市ガスorプロパン」…など、条件が違うだけで大きくガス代が変わってくるからです。
- 我が家は追い焚きを導入すべき?
- 残り湯を再利用して追い焚きすべき?
- 一からふろ自動湯はりをすべき?
- 追い焚き保温はつけっぱなしにすべき?
一概に答えは出ませんので、以下に様々な状況を想定してみました。皆さんの利用状況や環境に当てはめて参考にしてみてください。
給湯器の追い焚きガス代について
「追い焚き」のガス代は高い?
追い焚き機能の新規検討
給湯器の検討をしています。追い焚きは高いって噂ですが、そんなにガス代がかかるのですか?
現状、追い焚き機能を使っていない場合は、給湯(蛇口のお湯)とのガス代比較になります。風呂自動湯はり=給湯なので、浴槽にお湯をためることに関しては、ガス代は今と基本的に変わりません。仮に「給湯(湯はり)」基準でガス代を考えるなら、同じ水温から同じ水量のお湯をつくる場合、「追い焚き」の方が熱効率が低い分、若干高くなるレベルです。
デメリット
- 追い焚きは便利な付加機能なので、使った分(快適性を求める分)だけ、今よりガス代は高くなる。(ただし、お湯が冷めた時にたし湯をしているなら、それほどガス代は変わらないと考える)
メリット
- 追い焚き機能があれば、2人目、3人目以降の「お湯が冷めて不便!」と感じていた悩みを解消することができる。
- 追い焚きがなければ、お湯を熱くするには「たし湯(ガス+水)」が必要だが、追い焚きを使えば「ガス」だけで「水」の節約になる。
ガス代のアドバイス
日々のガス代が気になるのであれば、まずは「ガス会社を乗り換える(料金を見直す)」ことが一番手っ取り早く、おそらくコレ以上の節約はないでしょう。
「追い焚き」と「風呂自動湯はり」のガス代比較
- 残り湯を2日目も利用する「追い焚き派」
水道代の節約になると思って、2日目は残り湯を追い焚きしています。実際のところ、ガス代節約には追い焚きが良いのか、毎日お湯を入れ替えるべきなのでしょうか?
- 毎日お湯を捨てて入れ替える「湯はり派」
追い焚きよりも浴槽のお湯を捨てて、もう一度お湯をため直すほうがガス代が安いと聞いたので、お湯は毎日入れ替えています。でも、追い焚きが高いという話は本当なのでしょうか?
結論としては、各ご家庭の使用環境条件によって、どちらが高いか安いかは逆転することがあります。例えば、同じ水温から同じ水量を沸かす場合は、一般的に追い焚きよりも給湯の熱効率のほうが高いので、湯はりのほうがガス代が安くなります。しかし、実使用においては、「Aさんは追い焚きの方がガス代が高い」、「Bさんは湯はりの方がガス代が高い」という状況が存在します。
では、各ご家庭における使用時期やお風呂の状況を思い浮かべながら考えてみましょう。
追い焚きは、特に寒い冬場に活躍する機能です。
東京の冬場の平均水温は約10℃前後。リモコンのふろ温度を42℃設定、180リットルのお湯をつくると仮定します。
熱効率:80~95%程度
水温10℃ → 設定42℃
熱効率:80~92%程度
浴槽水温?℃ → 設定42℃
浴槽の残り湯の温度を「?」と書きましたが、仮に水温と同じ10℃であれば、湯はりでも追い焚きでも「180リットルを32℃(42℃-10℃)上昇させる」必要があります。
この場合、スタートの水の温度も熱を加える水量も同じなので、熱効率が高いほうが少ないガス量(ガス代)で沸かすことができます。
基本的には、給湯(湯はり)熱効率の方が、追い焚き熱効率よりも高いので「湯はりがお得説」が広がっていますが、機種によっては、ほとんど差がない場合もあります。
では、みなさんのお風呂環境をイメージしてみましょう。
ご自宅のお風呂の残り湯の温度は「10℃」まで下がっているでしょうか?
在来工法(タイルなど)の浴室もあれば、ユニットバスもあります。断熱性も違えば、浴槽の保温性能も違います。浴室の外気温も違えば放熱ロスも異なります。蓋をしているしていないでも状況は大きく異なります。
夜だけ入浴するご家庭、朝風呂も入りたいご家庭など、根本的な入浴スタイルも違います。
要は、各ご家庭のお風呂の状況や条件はとにかくバラバラなので、ガス代はどちらが高いか、安いかは条件次第!一概に比較はできないのです。
ただ、東京ガスの場合は、同条件であれば「ふろ自動(湯はり)」の方が若干お得としています。
お風呂を沸かす・湯張りするとき、「保温」、「追いだき」、「給湯(ふろ自動)」では、どちらがお得か?
回答
給湯器のしくみから同一条件※では、3)給湯、自動の方が、1)保温、2)追いだき に比べて、若干お得です。※ 同一条件:追いだきの場合の「浴槽の中の残り湯の温度」と、ふろ自動の場合の「水道水の温度」がそれぞれ同じことを示します。
これは、「残り湯温度=水温」条件なら、ガス代に大差がないとも読み取ることができます。
つまり、「残り湯温度 > 水温」の温度差が大きいほど、追い焚きのほうが上昇させる温度は小さくなります。さらには水道代の節約にもなるので、残り湯温度が高ければ「追い焚き」のほうがお得と言えそうです。
追い焚きが節約になるケース
- 同日の沸かし直しであれば、残り湯の温度も高いので、おそらく追い焚きの方がガス代が安いです。
- 翌日の場合でも、蓋をしていて水道の水温よりもかなり高いようであれば、追い焚きの方が安くなる可能性もあります。
沸き上げ時間の豆知識
追い焚きのバーナーは、給湯のバーナーより小さいため、水の温度も沸かす量も同じであれば、追い焚きの方がかなり時間がかかります。
理由はコレです。
- ふろ自動湯張り:大きなバーナー(たくさんのガス)で短時間で沸かす
- 追い焚き:小さなバーナー(少ないガス)でゆっくり沸かす
追い焚きは時間がかかるため、「追い焚き=ガス代がかなり高い」説が広がっていますが、熱効率が同じであれば、TOTALで使うガス量に大きな差はなく、ガス代も同じことが言えます。(細かく考えると、時間がかかるほうが放熱ロスは大きく、その分のガス量が余計に必要です。)
「残り湯温度 > 水温」の温度差が大きいほど、沸きあがる時間差も縮まっていくでしょう。
「追い焚き」と「自動保温」のガス代比較
- 自動保温で温度キープ派
自動湯はり後は、自動保温を使っているのですが、1人目が夜7時に入浴、最後が夜12時と間隔が空くので、無人のときも保温状態です。これってガス代の無駄でしょうか?
- 保温OFFで都度追い焚き派
入浴時間がバラバラなので、保温はOFFにしています。各自が入浴するときに「追い焚き」で沸かしていますが、「保温つけっぱなし」とどちらのガス代が安いのでしょうか?
結論は、どちらも大差ありません。各ご家庭のライフスタイルにあわせて、快適な方を選べばよいと考えます。給湯器メーカーのノーリツも次のようにアドバイスしています。
節約プチ情報
家族の帰りが遅いとき。
保温と追いだき、どっちがお得?どちらもほとんど変わりません。
保温は「ずっと温度を保ち続ける」、追いだきは「入るタイミングであたためる」という特徴があります。
お好みにあわせて、どうぞ。出典:取扱説明書(ノーリツ)
保温つけっぱなし
機種で異なりますが、給湯器が15~30分ごとに「お湯が冷めていないか?」をチェックし、冷めていれば、沸かし直します。
実際はもっと細かく制御をしていますが、基本的にはこのサイクルを繰り返して温度をキープします。
保温OFFで追い焚き
時間が経過した分、お湯の温度は下がっていきます。
入浴間隔が長いと、かなり冷めている可能性もあり、設定温度まで沸き上げるには時間がかかるので、利便性としては良くはありません。
では、イメージしやすいように、条件設定して考えてみましょう。
【 条件・状況 】
・自動保温:30分サイクルで自動追い焚きとする
・湯温:30分で2℃下がるとする
・120分間無人の状態とする
保温つけっぱなし
30分で2℃低下の4サイクル → 2℃自動沸き上げ×4回 → 8℃上昇させるガスが必要
保温OFFで追い焚き
30分で2℃低下の4サイクル → 8℃手動追い焚き×1回 → 8℃上昇させるガスが必要
つまり、細かい条件を抜きにすれば、どちらも冷めた分だけ沸かし直しているので、ガス代はほとんど同じということです。
ただし、最後の人が「今日はお風呂面倒だからやめよ!」ってなると、保温していた分のガス代が無駄になります。
このようなケースが多いご家庭は、保温OFFで追い焚きのほうが良いかもしれませんね。
お家のガス代節約術!今日にでもできること
ガス代が高いので困っている、節約したい
- プロパンガスのご家庭
ガス代が高くて困っています。プロパンだからでしょうか?追い焚きが原因でしょうか?
- プロパン・都市ガスのご家庭
ガス代を気にせずに追い焚きを使いたいです。今よりもガス代を安くするには、どうすればよいでしょうか?
<回答>
都市ガスでも「ガス代が高い…」とお悩みの方は多いですが、「ガス代が高すぎるよ!」と切実に悩まれている多くはプロパン(LP)ガスのご利用者さんです。
節約方法はいろいろあります。
ですが、今日ここで節約手段を知っても、実行しなければ今後もガス代はずっと高いままでしょう。
今すぐできる日々の節約
まず、ガス代を抑えるために、湯はりや追い焚きにおける節約ポイントがあります。
追い焚き中も湯はり中も、浴槽のお湯は湯気とともに放熱しています。この放熱ロスをとにかく最小限にすることがポイントです。
- 湯はりの時も蓋をしておく
- 体を洗う時も蓋をしておく
- 入浴後も蓋をして保温効果を高める
- ご家族と「入浴時間バラバラ見直し会議」を行う
今すぐできる大きな節約
都市ガスに比べて、プロパンガスが高いのは仕方ありません。
都市ガスは、ガス管を通して各ご家庭にガス供給されていますが、プロパンガスは、ボンベを運ぶガス会社の人件費がかかります。
繰り返しにはなりますが、プロパンの単価設定は、良心的な場合もあれば、恐ろしいほど高額な場合もあるのが現実です。
ですが、ご近所で「奥さんところはガス代いくら?」と聞く人は少なく、無駄なガス代を払っていることに気づかないまま、今日に至っている方が多いのです。
これでは、いくら追い焚きを我慢してコツコツと節約を頑張っても、いったい何をしていることやらわかりません…。
だからこそ、この機会が「ガス代が適正なのか?平均以上払っていないか」を見直すチャンスです。
スマホも電気も乗り換えで得をするのが当たり前の時代です。
これらの乗り換え経験があればご存知と思いますが、変更手続きも超簡単ですよね?!そう、業者側が面倒な手続きや処理をやってくれるんです。
ガスも全く同じこと!
結果、「そんなに高いガス代をずっと払い続けてたんですか?」ってなる可能性は十分あります。
ガス会社の切替も想像以上に簡単なので、「追い焚きが…」「ガス代が…」「節約しなきゃ…」と悩むのは今日で終わりにしましょう!
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