2020年5月24日|最新情報更新しました
- 竹節 倫敦(たけふし ともあつ)
- 専門資格:ガス給湯器などの設置施工に必要不可欠な液化石油ガス設備士(国家資格)に加え、高圧ガス販売主任者第二種、丙種ガス主任技術者の資格も保有している。
ガス給湯器をお使いの方からの、お湯の温度に関する相談は多いです。
- お湯の温度が安定しない(不安定)
- お湯の温度が上がらない
- お湯の温度が下がらない
- お湯が急に水になる
- リモコンの温度とお湯の温度が明らかに違う
これらの状況は、「お湯は出ている」が「高温のお湯が出ない」という内容であり、完全に故障している状態ではありません。
キッチン・洗面・シャワーとお湯は出ていますので、給湯器は動いていることになります。
しかし、実際のお湯の温度が低い場合や不安定な場合は、使用状況や給湯器の異常を疑ってみる必要があります。
目次
ガス給湯器の温度変更は大きく2パターン
まずは、根本的に設定している湯温が適切であるかを確認する必要があります。
1.給湯器のリモコンがある場合
給湯器のリモコンが設置されている場合でもパターンはいくつかあると思います。
- 台所リモコンのみ
- 浴室リモコンのみ
- 台所リモコン+浴室リモコン
- 台所リモコン+浴室リモコン+増設リモコン
ただ、共通するのは、リモコンで設定した表示温度を狙って給湯器がお湯を作るということです。
よって、リモコンの温度設定を変更すると、お湯の温度は給湯器が自動で調節してくれます。
2.給湯器のリモコンがない場合
リモコンなしで給湯器を使われているご家庭も非常に多いですが、主な特徴としては給湯専用機(単能機)の場合が多いです。
《給湯専用機:基本的には、キッチンや洗面、シャワーなどのお湯を作るだけの給湯器です。》
リモコンなしの場合は、給湯器がお湯の温度管理をするカタチとなります。この場合のお湯の温度は一般的に「60℃固定湯温供給」が多いです。(給湯器の種類によって異なる場合もあり、固定温度を変更できる機種もあります)
基本的に利用者が給湯器で作られる温度変更はできません。(設置段階で施工業者が給湯器側の基板で設定しています。)
利用者が温度変更するには、高温供給されるお湯に混合水栓で水を混ぜて、適温に調節するのが基本です。
お湯の温度が上がらないケース
すぐにお湯にならない
キッチン、洗面、お風呂と給湯器までは距離があり、最初は配管内の水が出てきますので、お湯に変化するまで少し時間がかかります。
季節に関係なく最初は配管内の残水が出てきます。
ただ、冬のほうが早くお湯が出てきてほしいと思うせいか、体感的にお湯に変わるのが遅いと感じる人もいるようです。
給湯器のお湯の温度が上がらない(高温にならない)
お湯の温度が上がらない可能性としては、いくつか考えられます。
リモコンが動かない場合
- 台所リモコンと浴室リモコンがある場合、操作している側が「優先」になっているかを確認してください
リモコンや給湯器側で最高温度の上限設定されている場合は、それ以上の温度には設定できません。
リモコンの温度より低温の場合
- ガス栓や給水栓は全開になっているかを確認してください
- 混合水栓の場合、水の混ざり具合を確認してください
冬場の気温(水温)が低い場合は、お湯の出す量を少し絞れば(少なくすれば)、お湯の温度は高くなります。
お湯の温度が下がらないケース
リモコンが動かない
台所リモコンと浴室リモコンがある場合、操作している側が「優先」になっているかを確認してください。
リモコンによって、設定できる最低温度は異なります。
リモコンの温度より高温
お湯の出す量を絞っている場合は熱くなりやすいので、給湯栓をさらに開いて水量を多くしてください
夏場などの水温が高い場合は、設定温度よりも熱いお湯がでる場合があります。温度を下げたい場合は水を混ぜてください
ソーラーシステムなどを導入されている場合は、給水温が高いので低温のお湯が出にくい状態かもしれません
給湯器のお湯が急に冷たくなった(水になった)ケース
1.最低作動流量を下回っている(流量が少ない)
給湯器には最低作動流量(機種により必要な流量は異なる)というものがあり、一定量のお水が流れないと給湯器が燃焼しません。お湯が出ていても水量を絞りすぎることで給湯器のバーナーが消火している可能性があります。
普段から水圧が低くありませんか?水圧が低いと湯量も減ったりと不安定になりがちで、最低作動流量を下回った可能性も考えられます
2.リモコンにエラーが出ている
お湯が急に水になった場合、エラーで給湯器が停止している可能性があります。
お湯の温度変化が激しいケース
給湯器の機種(性能)によっても異なりますが、再出湯したときに温度変化を感じる場合は、「冷水サンドイッチ現象」かもしれません。
シャワーなどのお湯を一度止めて、再度お湯を出したとき、「お湯が熱くなったり、冷たくなったり、適温になったりする」のは給湯器の特性でもあります。
温度変化を抑える機能を搭載したの給湯器であれば温度変化も少ないですが、搭載していない機種は温度差も大きいので「異常では?」と感じる場合がありますが、一概に故障とは言い切れません。
給湯器の故障や経年劣化の可能性も疑おう
ご紹介したことが要因でお湯の温度に異常や違和感を感じるケースもありますが、給湯器の部品故障や経年劣化(寿命が近い)による症状の可能性もあります。
購入した当初から同様の事象が続いているのであれば、使用方法等の見直しで改善・軽減されるかもしれませんが、使用年数も長く、だんだんと温度の不安定さが大きくなってきている場合は、一度点検を受けたほうがよいかもしれません。
点検や修理に抵抗があるようでしたら、まずはメーカーやガス会社に使用している給湯器の型式と症状を伝えて、故障や経年劣化の可能性がないかヒアリング・相談してみるのも一つです。
以上、給湯器のお湯の温度が不安定・上がらない・下がらない場合の原因と対策をご紹介いたしました。
故障ではなく、給湯器の特性上やむをえない物もありますが、長期間使用している給湯器の場合は、経年劣化による不調の可能性があります。
特に、給湯器の故障発生率は10年を越えてくると急激に上昇しますので、長期間使用している給湯器であれば、機器の寿命の可能性もあります。
長期間の使用により給湯器の故障や不調が疑われる場合は、メーカーやガス会社、賃貸の場合は管理会社や大家さんに相談するようにしましょう。
文:ガス専科編集部 記事監修:竹節 倫敦(液化石油ガス設備士)
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