2020年5月23日|最新情報更新しました
- 竹節 倫敦(たけふし ともあつ)
- 専門資格:ガス給湯器などの設置施工に必要不可欠な液化石油ガス設備士(国家資格)に加え、高圧ガス販売主任者第二種、丙種ガス主任技術者の資格も保有している。
給湯器のエラー 920 930 は、長期間給湯器を使用している場合に、中和器の交換時期を通知するために表示されるエラーです。
目次
給湯器のエラー 920 930 の内容
ガス給湯器の使用年数が長くなってくると、リモコンに「920」や「930」のエラーコードが表示されることがあります。
エラーコード | 主なエラーの理由 |
920 | 中和器交換警告、中和器寿命予告 |
930 | 中和器寿命 |
給湯器のメーカーによって表現はことなりますが、基本的な内容は共通です。
このエラーは、エコジョーズと呼ばれる高効率給湯器で表示されるエラーです。
エコジョーズに搭載された中和器が寿命を迎え、交換時期が近づくと920が表示され、そのまま使用を続けていると930が表示されて給湯器が使用できなくなります。
エコジョーズの中和器は、高い効率を達成するために搭載されている構造です。
エコジョーズとは
エコジョーズは、従来のガス給湯器と比べて熱効率が約80%から約95%へと大幅にアップされた高効率タイプの給湯器です。
従来の給湯器 | エコジョーズ | |
熱効率 | 約80% | 約95% |
排熱ロス | 約20% | 約5% |
従来式は、給湯時の熱量から20%が空気中へ排熱として消えていました。
エコジョーズは排熱を再利用する仕組みで5%までロスを低減しています。
これがガス代低減に直結しているのです。
エコジョーズはドレンが発生する
この無駄な排熱を再利用する際に、「ドレン」と呼ばれる酸性水が発生します。
ドレンは、専用の回路で中性に中和して機器外に排出する必要があります。
その役割を果たすのが中和器回路というわけです。
中和器ケースには炭酸カルシウム(中和剤)がギッシリ入っており、この中和剤を通すことで酸性から中性に中和して機外に排出するのです。
給湯器のエラー 920 930 の対処法
中和器が機能しなくなると、酸性のドレンが垂れ流しになってしまうため、そうなる前にエラーで止まるように設定されています。
給湯器の寿命は10年とされており、設置してから10年相当の運転をしている場合にエラーが表示されます。
10年というのはあくまでも目安で、10年ピッタリに「エラー930」が出るわけではありません。
使用頻度によって、7~8年以内に出ることもあれば10年以上出ない場合もあります。
リモコンでのエラーリセットを試す
まずは、リモコンでエラーリセット(運転スイッチの「切」⇒「入」操作)を試してみてください。
電装基板などの何らかのバグで一時的に誤表示されている可能性もあるからです。
特に使用年数が短い場合は、一度試してみてください。
リモコンリセットで消えない場合は、念のために電源コンセントリセットも試してみる価値があるかもしれません。
中和器を交換する
現状の給湯器をそのまま使用する場合は、中和器交換をするしかありません。
給湯器の型式や修理業者によって中和器交換にかかる費用は異なり、出張費や部品代、技術料を合わせて15,000~25,000円前後が必要になってきます。
また、電装基板の異常でエラーが出ている場合は、型式によっては基板交換だけで25,000~40,000円前後の修理代がかかってきます。
給湯器の交換も検討を
10年の機器寿命は、機器交換の目安でもあります。
特に、古い給湯器は一部の部品を交換したとしても再度故障してしまう可能性も高くなり、劣化が進むと燃費も悪くなりやすいため、この機会に機器交換をするのも一つの選択です。
中和器だけを交換して費用を抑えようとしたが、半年もしないうちに他の部品が故障し結局機器交換をしなければならなくなった、というケースもあり、結果的に機器交換のほうが安く済む場合もあります。
920が表示されている場合も、まだ使えるからと放置していると、ある日急に930エラーが出て使えなくなる、ということになりかねないので、早めに中和器交換、機器交換を検討することをおすすめします。
以上、エラーコード920 930の原因と対処法をご紹介いたしました。
機器の寿命となりますので、交換を依頼する場合はメーカーやガス会社、賃貸の場合は管理会社や大家さんに相談するようにしましょう。
文:ガス専科編集部 記事監修:竹節 倫敦(液化石油ガス設備士)
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