ポイント
- 住宅設備はカタログで見るよりも、ショールームで見て、触って、体感することが一番大事
- 買う人売る人の両者の声を熟知しているからこそ、リフォームを成功させる見学ポイントがお伝えできる
この記事のまとめ担当:森 雅樹|森住宅コンサルタント株式会社 代表
マイホーム計画でもない限り、トイレやキッチンなどが並ぶショールームに足を運ぶことはないでしょう。
しかし、いざマイホーム計画が持ち上がると、今までは視界に入らなかった街中のショールームの存在が気になり、中にはどんなものがあるのだろう? と気になりだすものです。
住宅業界に20年以上身を置き、家を買う人と売る人の両者に精通している筆者が、ショールームの見学方法を皆様に伝授したいと思います。
ショールーム見学に予約は必要か?
これはあなたの真剣度によります。
具体的に商品を選定に行くような段階であれば予約をお勧めしますが、それ以前の段階であれば“ふらっと”行っても大丈夫。
TOTO、Panasonic、LIXIL、Takaraなど住宅設備機器メーカーはそれぞれショールームを持っていますので、とにかく目に付いたショールームに足を運んでみましょう。
飛び込みでの訪問になりますが、通常は女性の担当者が挨拶に来て「ご案内しましょう」とくるはず。
そのまま説明を受けるのもいいですが「ちょっと見に来ただけですので」と言って自由に見学しても構いません。
ショールーム見学|トイレ編
では、具体的なお話をしていきましょう。
まずは生活に欠かせないのがトイレ。ただ、トイレを見に行くと、どうしてもその機能だけに目が行きがちですが、機能だけを見ていると失敗するので要注意です。
女性にとって抵抗があるのは十二分に承知はしていますが、必ず便座に腰掛けてください。
上から見るのと便座に腰掛けるのとでは大違い。見える景色も違えば、座らなくては絶対にわからないことがあるのです。
代表的なものがシャワーなどを操作する端末版。
大別すると便器本体についているタイプと壁付にするタイプに分かれますが、あなたにとってどちらが使いやすいかは、実際に使ってみなくてはわかりません。
私は個人的に壁付けが好きです。使いやすいですし高級感があるのはこちらになると思います。
ところが、3年前に取材した方からはこんな意見を聞きました。
「新築にあたってトイレの操作盤を壁付けにしたのですが、80歳になる小柄な母にとっては壁の端末までの距離に問題がありました。また、腕が痛くて上がらないとも言うのですよね」
いかがでしょうか。
機能や見た目の高級感も大事ですが、実際に座って確認することがいかに大事かということです。
ただ、便器本体だけが並んでいるショールームでは壁までの距離などは体感できません。
しかし、写真のように個室を再現したようなショールームも一部にはあるので探してみてください。
個室再現タイプであれば、端末版はもちろんですがトイレットペーパーまでの距離や高さも確認できます。
ショールーム見学|キッチン編
奥様にとってキッチン選びは頭を大きく悩ませることでしょう。
A社のキッチンには〇〇がついているがB社にはない。その逆も然り。
こんな感じですので、商品選定にはどうしても時間がかかるのも無理はありません。
では、何を基準に見たらいいのか? となりますね。
- ≪今のキッチンで困っていることを箇条書きにする≫
- ≪それらに優先順位を付ける≫
この2点を実行しましょう。
そのうえで、できればショールームの人に声を掛けて案内してもらうのがベスト。
たとえば、今お使いのキッチンについて「とにかくキッチンのお手入れが大変なの!」という強い不満を持っているとしましょう。しかも、キッチン選択の優先度としても上位だと仮定します。
こういう時はショールームスタッフに「掃除がしやすいキッチンはどれですか?」と尋ねましょう。
どのメーカーも掃除がしやすいことはアピールしていますが、そこは様々な情報を持っているショールームスタッフの経験と知識に期待するのです。
こんな感じで聞いて行くと、理想とするキッチンにたどり着ける確率がグンと高まります。
また、キッチン選びで必ず頭を悩ますのがガスコンロにするかIHクッキングヒーターにするかの一大選択。大いに迷いますよね。
でも、これについてもスタッフに助言を求めるのがベスト。なぜならば、膨大な数のお客様の声を知っているからです。
この写真はIHクッキングヒーターですが、ショールームによってはIHとガスが並んで展示してあり、お湯を沸かす時間比較などの実験ができるようになっています。
見かけとかイメージではなく、冷静にその使い勝手から判断して自分にあった素敵なキッチンを探しましょう。
また、キッチンで重要なのはその高さ。長身の奥さんが腰をかがめて作業をすれば、腰を痛めることになりますし、その逆であっても作業性が落ちてしまいます。高さを選択できるキッチンであるかどうかも大事。
多少の差は底の厚いスリッパを履くなどして調整可能ですが、これは健康にかかわる問題ですから徹底的に質問してください。
参考までに次の公式を覚えておくと便利です。
- ≪身長÷2+5cm=適切なキッチンの高さ≫
奥さんの身長が160cmとすると、適切な高さは85cmとなりますが、この85cmが標準的な高さとなります。
ショールーム見学|お風呂編
これも悩みますよね。
基本は1坪タイプと呼ばれる商品が主流を占めていますが、これも大きめ小さめと様々です。トイレ同様ですがまずは必ず浴槽に座ってみること。
これが大鉄則と覚えておきましょう。
とくに昔と違って浴槽の形が特殊なものが大幅に増加。
上から見ただけではよくわからなく、座ってみるとなんだか落ち着かなかったり、座面が高すぎるなどということがわかるわけです。
それと、見かけではわからないのが使用水量や保温性など。
お風呂は使用する水も多く、冬場はその保温性にも注目しなくてはいけません。
これらの情報はスタッフに聞きましょう。また、聞くだけではなく、比較した資料などもあると思うので、カタログもしっかりもらってください。
また、キッチンやトイレと同様に掃除のしやすさも大事ですよね。
お手入れをさぼってカビが発生したり床が黒ずんだりしたら意気消沈です。
掃除がしやすいかに加えて、床の水がすぐに捌けるような材質かどうかもチェックポイントと言えます。
それと、あまり見かけないものの、写真のような湯船がみられるショールームもあります。一般的ではないですが、せっかくですからこんなお風呂も見るのも楽しいですよ。
参考までに洗面台の写真をも掲載しました。
これも豪華なもので値段も張りますが、ショールームだからこそ見ることの出きるものです。
これも好みの問題といえますが、一般的ではない商品も積極的に見てみましょう。
ショールームを積極的に活用しよう
住宅設備機器のショールームと言えば、トイレ、お風呂、キッチンが代表的なものです。まずは、お近くのショールームを探して見に行きましょう。
まずは誰もが知るような有名企業のショールームに行くと、スタンダードな商品を見られるのでいいと思います。そのうえで、輸入専門のショールームに足を延ばしたり、電力会社やガス会社のショールームに行くと参考になります。
電力会社のショールームでは、IHクッキングヒーターの実物がたくさん並んでいます。
IHは各メーカーも作っていますので、それらのショールームで見ることができますが、電力会社ではそれに特化しているのでなかなか見ごたえがあるのです。
ガス会社のガスコンロにおいても同様のことが言えます。
「家が欲しいな」「この家も古くなったからリフォームをしようかな」と思ったら迷わずショールームの見学をしてみましょう。
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