電気給湯器の代表格の「エコキュート」!一般的に販売されるようになってまだ20年足らずですが、既に経年劣化で修理が必要になったり、交換時期に突入している人も増えています。今回は、このエコキュートのお湯が出ない場合のトラブルにフォーカスしてみましょう。
ガス式でお湯が出ない場合
エコキュートの寿命を知りたい
目次
エコキュートとは
そもそもエコキュートの仕組みですが水をタンクに貯めて高温にします。そして高温のお湯と水を足して丁度良い温度のお湯を作ります。考え方は非常に簡単です。エコキュートのポイントとしては温め方にあります。水を入れたタンクを温める方法はエアコンの原理と一緒です。感覚としてはエアコンの暖房で水をお湯にしていると考えても問題ないでしょう。
エコキュートのトラブル
エコキュートの「お湯が出ない」を含むトラブルは大きく外的要因と内的要因に分かれます。
外的要因
外的要因とは停電、寒波、水害、断水などで起こるエコキュートのトラブルです。
内的要因
内的要因とは電子基板の劣化、パッキンやタンクの劣化、ヒートポンプユニットの劣化などエコキュート本体が原因で起こるトラブルです。使用年数が長い場合はエコキュート(給湯器)の寿命も考えられます。
その他要因
エコキュート自体には問題がないが、蛇口部分の不具合や劣化でトラブルになる場合もあります。
各ご家庭のトラブル状況はバラバラ
同じ症状であっても、原因は複数考えられるため、まずはどの要因でトラブルになっているかを見極めていくことが解決へのポイントとなります。メーカーに相談やメンテナンス依頼する場合にもしっかりと症状を把握して伝えることをおすすめします。
例えば、お湯は出ないが「水は出る / 水も出ない」で状況は変わってきます。情報が多ければ、原因がエコキュート側なのか?蛇口などの設備部品メーカー側なのか?など、メーカーや業者も的確なアドバイスをしやすくなります。
エコキュートのお湯が出ない症状
エコキュートからお湯が出ないと一言でいっても、状況は様々です。
洗面台からお湯が出ない
洗面化粧台からお湯が出ない場合は2パターンに原因が分かれます。
エコキュート本体の故障やタンクの湯切れと洗面化粧台のサーモスタット水栓の不具合が考えられます。まずはエコキュートの具合や状況を確認してみましょう。エコキュートのリモコン表示部分を取り扱い説明書など見ながら状況を確認してみてください。タンクの湯切れ表示が出ていると追い炊きをしなくてはなりません。追い炊きボタンにて対応してみてください。
エコキュートのリモコンにエラー表示などが無ければサーモスタット水栓の不具合が考えられますので水栓内部の温調ハンドルやサーモスタットカートリッジの不具合が考えられます。洗面化粧台一体型水栓の場合はメーカー対応になりますので、メンテナンスを依頼しましょう。
お風呂の浴槽からお湯が出ない
浴槽からお湯が出ない場合ですがこちらもエコキュートの不具合か浴槽部分の追い炊き貫通金具部分のトラブルが考えられます。
浴槽にお湯が出ない場合も必ずリモコンのエラー表示や湯切れ表示を確認してみましょう。多いケースが貯湯タンクのゴミストレーナーが詰まっているとお湯が出ないことや、お湯の出が悪いといった症状になります。設備業者に問い合わせするなどの対応をしましょう。
エコキュートに問題がなければ浴槽の配管部分の故障の可能性が高くなります。浴槽部分には水道とお湯の経路が2つ存在します。見た目は一つの穴に見えるのがほとんどです。この部分に配管のゆるみや劣化などがあるとお湯漏れしてしまいお湯が出ない状態になります。修理する為にはユニットバスの分解などが必要になりますので浴室メーカーに問い合わせしてみましょう。
キッチンからお湯が出ない
キッチンからお湯が出ないケースはほとんどがエコキュートのリモコン設定が低い場合が多いようです。
温度設定状況をよく確認してみましょう。また次いで多いのが貯湯タンクのゴミストレーナー部分の詰まりです。設備業者に依頼してストレーナーを掃除してみてください。また水栓金具が原因の場合はキッチン水栓のサーモスタットカートリッジ部分が故障しているケースが考えられます。キッチンメーカーに問い合わせしてみてください。キッチンと一体式の水栓でない場合は部品取り寄せで修理することも可能になりますが、新規でサーモスタット水栓を購入した方が安上がりの場合もあります。
エコキュートのお湯が出ない原因と対処ポイント
基本事項
エコキュートでお湯が出ない原因は色々とあります。
エコキュートは消耗品なので日々のメンテナンスや清掃などこまめに行ってください。タンク部分にある逃し弁や減圧弁は消耗品となりますので修理しないで速やかに交換してください。その他のメンテナンスとしては洗浄剤にての浴槽から配管のクリーニング、タンクに付いている漏電ブレーカーの点検、タンク内の水の入れ替えなど定期的に行いましょう。これらの定期的なメンテナンスがエコキュートの故障を減らして「お湯が出ない」などのトラブルを解消してくれます。事項より外的要因のトラブルケースを解説していきます。
雨で浸水
最近では異常気象と騒がれ、浸水や洪水も珍しくない状況です。
エコキュートが浸水した場合はどのように対処したら良いでしょうか。浸水の範囲にも色々とありますが、タンクの足元5センチから10センチ程度ではほぼ問題ないと言えるでしょう。しかし、ヒートポンプ部分の浸水が著しい場合は残念ですが買い替えをおすすめ致します。基本的にエコキュートは電化製品になりますので水には弱い製品です。防水性能もありませんので電子基板に浸水すると漏電の原因となり火災の原因にもなります。一度メーカー点検を受けた上で使用してください。通電もしないように心がけましょう。
凍結
冬場ではエコキュートの配管が凍結してしまいお湯が出ないという症状も多数あります。
現在のハウスメーカーでは凍結防止ヒーターを地域により設けるハウスメーカーがほとんどですが、凍結防止ヒーターが付いていない場合は非常に困ります。
基本的に配管内部の凍結部分が溶解するのを待つしかありませんが、エコキュートの配管部分全般にぬるま湯をかけて溶かしましょう。できるだけ均一にぬるま湯をかけてください。一部分だけの溶解では故障の原因となり、お湯も出ません。また凍結対策としては夜間浴槽に水を入れておくことや外部の配管部分をタオルや毛布でくるんだり、ぬるま湯を少量出しっぱなしにしておくなどの対策で解消はできるでしょう。
落雷
落雷によるエコキュートのトラブルは電気配線の断線や電子基盤の損傷などがメインになります。
落雷した後にエコキュートからお湯が出なくなった場合は電子基盤関係の損傷が原因と考えて良いでしょう。リモコン電源が入らないなどの、エラー表示が発生します。この場合は自分で修理するのはまず不可能なので速やかにメーカーに問い合わせと修理依頼をしてください。現在では基本的に建物にもアース線がついていますので落雷による電化製品の故障は少ないはずですが、万が一に備えて保険内容も見直しておきましょう。
エコキュートが傾いている
エコキュートの重さはどれくらいでしょうか。タンクにお湯がない場合は100kg弱ですが満水時では500kg前後になります。この重量を支えるのは非常に難しいので傾いた場合は速やかに業者に依頼して修理してもらいましょう。配管は固定されていますが500kgの倒壊には耐えられません。また、建築不良にて徐々に傾いてきている場合は配管の亀裂や漏水によりお湯が出なくなったりします。今一度状況を確認してみてください。筆者も震災後はエコキュートの傾きによるお湯が出ないなどのトラブルも経験しました。
停電
エコキュートは電化製品です。停電した場合お湯は当然出てきません。
またエコキュートの専用ブレーカーが落ちている場合にも当然エコキュートは使用できませんし、電源も点かないでしょう。停電の復旧を待ち、復旧後は全ての分電盤のブレーカーの状況を確認してみてください。日ごろから分電盤の正常な状態を写真などで保管しておくと良いでしょう。また、タンク部分の漏電ブレーカーも確認してみてください。過電流などでおちている場合があります。基本的に停電復旧後は問題ないので落ち着いてマニュアルを確認してエコキュートの復旧作業を行ってください。
参考記事 停電したときにするべきことを解説▽
断水
水道工事などで断水している場合はお湯を出すのを控えましょう。
断水している場合は水圧も弱くなる為、エコキュートもエラー表示が出て作動しなくなる場合があります。また工事などで断水している場合は工事中のホコリやゴミが水道管に混ざりエコキュートを破損してしまう場合があります。断水が復旧した場合エコキュートの通水を止めて、しばらく外水道や他の水栓で水の汚れを確認してみてください。砂利などの細かい汚れが無くなった上でエコキュートのバルブを開栓してください。
台風などによる破損
自然災害が多い現代ですが台風や竜巻などの災害でエコキュートが破損する場合もあります。
この場合お湯が出ないなどの症状がおき、電源が付かなかったり、エラー表示が出たままの場合があります。エコキュート自体の見た目は問題なくても台風や竜巻によりタンクなどが一度や二度大きく傾いた場合も考えられます。この場合配管の亀裂や漏水が原因ですので速やかにメーカーや設備業者に問い合わせして対応してもらいましょう。エコキュートの取り付けに関してはほとんどが建物に固定する形となっていますので現状固定されていなければ固定するようにしてください。
部品故障や経年劣化
外的要因もなく、取扱説明書に書かれている「使い方」や「よくある質問(Q&A)」を確認しても解決しない場合は、部品の単発故障も考えられます。また、使用年数が長い場合は、部品劣化に伴う故障や寿命の前兆の可能性もあります。経年劣化の場合は修理にすべきか、機器交換すべきかの迷いどころでもありますので、使用年数を確認の上で、メーカーなどに相談するほうがよいでしょう。
エコキュートと保険のお話
エコキュートは交換すると安価でも45万円前後はするでしょう。思わぬ災害などで交換しなくてはならない場合もあります。
その場合重宝されるのが災害保険です。火災保険などとセットで扱っているケースも多数ありますので、一度火災保険を見直してみるのも良いと思います。災害保険に加入していれば災害時のエコキュートの故障やトラブルで交換する場合も費用負担が少なくて済むでしょう。これからの災害状況を乗り切る為には災害保険は必須といっても過言ではないでしょう。
最後まで読んで頂きありがとうございます。色々なケースでお湯が出なくなるエコキュートですが非常に便利で災害時には非常用で水も使えます。上手に使用すればエコキュートは非常に頼もしいパートナーになります。今の時代蛇口をひねればお湯が出るのは当たり前の時代です。大切に長くエコキュートを使用してください。
参考記事 エコキュートの寿命や交換時期の目安を解説▽